ワタナベメディアプロダクツ株式会社の代表:渡邉勝彦のブログ
マーケティングアドバイザー渡邉勝彦

デフレ時代のプライシング戦略

ゴルフコンペで仲間とゴルフ談義をしていると、時々面白い話が聞くことができます。
実は私は久しぶりのゴルフだったのですが、事前にゴルフクラブを確認しところ、ドライバーのヘッドが折れていたので、びっくりしてドライバーを買いにいきました。
どこに買いに行ったのかと言うと、中古ゴルフクラブ販売の「ゴルフパートナー」という店に行きました。
以前は「二木ゴルフ」に新品を買いによく行っていたのですが、「ゴルフパートナー」は中古といっても1年遅れで半額です。
1年に5?6回しかゴルフをやらない私にしてみれば、新品を買う必要がないと思ってゴルフパートナーに買いに行きました。

しかし、私の同伴競技者は1年に数十回とゴルフをするようで、あちこち遠方に行くためにゴルフクラブを宅急便で送ったりするそうです。
そのため1セットでは足りないので「二木ゴルフ」で、もう1セット買ってしまったという話をしていました。
この話のオチは二木ゴルフで買ったら、値引率が凄かった、色々なプレゼントを沢山貰った、といって喜んでいるのです。
この構図は全く違う業態の店が、同じ土俵で戦っているように見えて違和感を覚えました。

新品のゴルフクラブを扱っているお店が、中古クラブを扱っている店に対抗して価格戦略を取っているようにみえて矛盾を感じざるを得ませんでした。

◆デフレ時代のプライシング戦略

消費者は、安いものに目がありません。
たとえ高額な年俸を得ている人でも、それは変わらないと思います。
最近やっとデフレは止まったと言われるようにはなりましたが、巷ではまだまだ安い商品やサービスが売れ筋となっています。

そうすると販売者側は、いきおい値引きや低価格路線に走りやすくなります。
その結果、コモディティ化に拍車がかかり、利益が目減りしていってしまいます。
そのような価格志向に対抗するためには、価格戦略を見直さなければならないと思います。

どのように見直すべきかと言うと「価値を考えさせるプライシング」が必要だと思います。
一般的に価格を決める大きな要素は「コスト」と「機能」です。
しかし、自社製品と他社製品では当然、開発から製品化までのプロセスが違います。
又特徴にも違いがあると思いますが、問題はこれらのことが顧客に伝わっていないことです。

お店の棚には、様々な製品が並んでおり、顧客は買うかどうかは価格次第といった所があります。
いまやほとんどの市場が成熟化し、まさしく激しい価格競争が繰り広げられています。
顧客を逃すまいと安売りを続ければ、効率は上がるかもしれませんが、それ以上にブランド・エクイティ(ブランドの持つ資産価値)が損なわれ、利益率は下がってきます。

実は製品がコモディティ化しているということは、顧客もコモディティ化が進んでいるということです。
顧客がコモディティ化するとはどういうことかと言うと、顧客の心理的な現象を指します。
実際コモディティ化した市場では顧客は次のような反応を示すそうです。
* 懐疑的な態度
* 惰性的な行動
* 最小限の期待
* 製品の差別化には無関心で、短時間で簡単な取引の選考
(ハーバード・ビジネス・レビュー参照)

つまりコモディティ化から逃れるためには、製品をどうするかではなく「顧客をどうするか」が大きなポイントとなってきます。

◆価格より価値に目を向けさせる

いまや何事にも無関心な消費者を、どうやって価格よりも価値に目を向けさせることができるかが大事なポイントになります。
それは「USPを明確にする」ということしかありません。
できれば同業他社と比較して、最も差別化されている部分があれば望ましいと思います。
或いは、全く土俵を変えて勝負をする、ということも選択肢としてはあると思います。
色々な価格戦略の取り方があると思いますが、その中で「価格体系を変更して、製品やサービスのメリットを明示する」という方法があります。

グッドイヤーは長年、タイヤの溝の寿命を延ばすために改善活動を続けてきましたが、顧客がそれに見合ったプレミア価格を支払ってくれませんでした。
それはなぜかと言うと、タイヤには具体的な参照価格がないために、あまり高い価格設定をすると顧客は驚いてしまい、安い製品になびいてしまうという傾向があったからです。
そこでグッドイヤーはタイヤの技術水準の高さを訴求するのではなく、耐用距離に基づいた価格戦略を取るように変えました。
顧客にタイヤの価値は耐用距離であるということを知らしめるために、耐用距離が長いタイヤほど価格を高く設定し、耐用距離が短いタイヤほど安く設定するというプライシング戦略を取ったのです。

顧客のコモディティ化した心理を変えるためには、従来の業界の常識に捉われず、新しい土俵を作る。
或いは新しいルールを作ったりしなければ、顧客の心理状態を変えることはできません。

昔の自動車の価値はエンジンの排気量であったり、馬力の大きさでした。
でも今は燃費の良さやCO2の排出量が大きな価値基準になってきました。

競争原理の中に「ルール」と言うものがあります。
皆このルールの中で戦っています。
「価格競争」というルールから「価値競争」という新しいルールを 作ることによって、自社のポジションニングを変える戦略を一考すべきではないでしょうか?

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渡邉勝彦プロフィール

1975年 法政大学経済学部卒業後、東京の中堅印刷会社にて生産関連と営業関連を経験。その後日本経営合理化協会に入社、主に営業マン向けのセミナーを担当、企画立案、セミナーの集客から運営までを行う。

1990年、ワタナベ印刷㈱代表取締役就任。2008年8月、社名をワタナベメディアプロダクツ(株)に変更。印刷会社から販売促進支援業へと大きく進路を転換!現在、マーケティングアドバイザー兼代表取締役として活躍中

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