ワタナベメディアプロダクツ株式会社の代表:渡邉勝彦のブログ
マーケティングアドバイザー渡邉勝彦

アンカリング効果

先週の台風は久々に関東を直撃し
東京の交通網が殆どマヒをしてしまいました。

最近の台風は関東を避けてくれることが多かったので、
今回も避けてくれるのかな?と思って 油断をしていたら
何と直撃です。

恐らく帰宅できずに東京中を彷徨い帰れなくなってしまった人達も
いたのではないでしょうか!
私の会社の社員の中にも5から6時間も掛けて
帰宅した人が沢山おりました。

ところが意外なところで面白い事が起こりました。

私の会社の本社は木更津ですが、
東京にも沢山のクライアントがいますので毎週東京に出向きます。
其のときは、
だいたいアクアラインバス(東京湾横断道路)を利用します。

ご存知の方もいると思いますが、
アクアラインは海の上を走りますので
風に弱く、風速20M以上風があれば
通行止めになってしまいます。

当然、台風の時はものすごい風があったので
誰でもアクアラインはストップしてしまうだろうと思っていました。

案の定アクアラインは通行止めになりましたが、何故かアクアライン
バスは運行しておりました。

その理由は、アクアラインは通らず
京葉道路を利用して木更津に向かったからです。

一般の人の頭の中には、アクアラインバスは
アクアラインしか通らないという思い込みがあるので、
あの日あんなに交通網がずたずたに
引き裂かれていたのにも関わらず乗車率は
低く座席には結構空きがありました。

アンカリング効果

人間の脳は、最初に注目した情報に縛られて
その情報が固定化してしまうことがあります。
それを「アンカリング」と言います。

アンカリングとは船が錨(アンカー)を
下ろすとそこから動けなくなると言う意味で、
最初に強い情報を打ち込まれると、
そこからしか思考をスタートさせられなくなる
という意味で使われます。

今回の場合、アクアラインバスはアクアラインが止まれば
バスも止まるものだとアンカリングしてしまった結果、
バスの乗員が思ったより少なくなってしまったのだと思います。

これをマーケティングの世界で応用している人たちが
結構沢山います。

私の友人がインドに旅行に行ったとき、
何かインドらしい物をお土産に買ってかえろうと
古物店に入ったところ、ヒンズー教の神々を模した
ような置物が沢山並んだ棚の中に、
象のようなガネーシャの姿がふと目に止まったというのです。
いわゆる、一目ぼれというやつです。

彼は早速値段を聞いたそうです。
聞くと5,000ルピー(日本円で約1万円)だというので、
東京で買えばそのくらいはするだろうと、
彼の感覚では決して高くはないと思ったそうですが、
インドでは値切らず買うのは買い物の王道から外れていると思い、
値引きの交渉をしたそうです。

結構な駆け引きのあと、
最終的に1,500ルピー(約3,000円)で決着したそうです。
10,000円から3,000円ですから、誰でもこれは良い買い物を
したと思うでしょう。

彼も満足して店をでたのですが、
ホテルに帰る途中の露天で先ほど買った物と似たような物が
露天で売られているのを発見!

彼は恐る恐るその商品を見てみたら、
先ほど買った商品と同じもだとわかったのです。
嫌な予感がして値段を見たら何とたったの200ルピー(約400円)、
気がついたときは後の祭りでした。

つまりこれが、アンカリング効果です。

店主に最初に5,000ルピーだと言われた情報が
頭にインプットされ固定化されてしまい、
そこからしかものを考えることができなくなってしまったわけです。

この手の失敗は、誰でもお持ちではないかと思います。
海外旅行に行って買い物をした時に、
値引き交渉をして上手くやったと思っている人たち、
その中にはいまだに気がついていない人もいるかもしれません。
(気がついていないほうが幸せかもしれませんが・・・)

アンカリングの罠

例えば、コスト削減を進める際にもアンカリングに
注意すうべきだと思います。

私の知り合いの敏腕コンサルタントは
「ジリ貧に陥った会社のコスト削減目標は3%とか
5%カットと言うよりも50%カットという強烈な
目標を持たせなくてはだめだ」といいます。

こういう会社は20から30%くらいは削る 余地があるというのです。

つまり、今までかかっていたコストという古く錆付いたアンカーが、
経営再建の邪魔をしている。
だから50%カットという強烈なアンカーを打ち込む必要があるのだと
言うのです。

そう言われてみると私の周りにも古く錆付いたアンカーの罠が
潜んでいるかもしれません・・・?

先週は私の属する業界(印刷業界)最大のビジネスショウ
「国際総合印刷機材展IGAS2011」が東京ビックサイトで
開催されました(21日まで開催中)

4年に1回の開催で今までは、ビックサイトの
東館と西館の両方を使って盛大に行われていましたが、
今回から半分の東館のみとなりました。

震災の影響もさることながら現在の印刷業界の苦境を
象徴しているようなできことで少し寂しい感じがしました。

只、このイベントが変わってきたなと感じることが幾つかありました。
その一つが来場者の国籍です。
私の周りで同じ顔をした東洋人の話す言葉があきらかに
日本語よりも中国語と韓国語が増えてきたことです。

印刷業界の機材展示会はドイツ・デュッセルドルフで
4年に1回行われる「ドルッパ」というのが世界最大の規模で、
次にアメリカ・シカゴで開催される「プリント」
そして日本の「IGAS」が世界4大印刷機材展
(あと一つは忘れました笑!)といわれています。

ただ印刷機械でアメリカ製のものは皆無に近くなりました

私の会社では主にドイツ製(ベルギーも含む)の
機械を多く導入しています。
海外メーカーと取引をしていてメリットを感じることは、
やはり海外の印刷業界や広告業界のことなどについて
情報を入手しやすいことです。

残念ながら印刷業界は日本よりも海外市場の方が
システマチックで合理的で進んでいると思います。
多分これは国民性や気質のせいもあるかもしれません。

そういった意味ではキャッチアップ式経営戦略が
まだまだ生かされる業界といえるでしょう。
ただし、海外のメーカーベンダーならどこでもいいかというと
そういうわけでもありません。
マーケティングの進んでいる会社とそうでない会社の違いは
あきらかにあります。

消費者の購買意思決定プロセス

今までの消費者はできるだけ多くのブランドを念頭において、
じょうごの広い口から出発し、候補を絞り込んでいきながら
最終決定に至るというものでした。

しかし、購入後は購入者のブランドへの関与というものは
あまり行われませんでした。

ところが、デジタルネットワーキングが進化した今、
消費者の購買行動は劇的に変化をしてきています。

消費者は企業がコントロール不能な、
あるいは存在すらしらない新たなメディアチャネルを通じて、
無数のブランドと接触し、反復的に品定めをし、
購入後もブランドの展開に力を貸したり、
その価値を問い直したりしています。

マッキンゼーの調査によれば、顔用スキンケア製品を
買った消費者の60%以上の人が、
購入後にその製品についてインターネットで調べているそうです。

消費者が購入に満足したときは、口コミで製品への支持を表明し、
他の人の評価材料を提供したり、ブランドの潜在的可能性を
高めてくれたりします。

しかし、逆に失望したときは、関係を断ち切ったり、
あるいはもっと悪い事態に陥る可能性もあります。

一般的な企業の多くはマーケティング費用を見込み客と
最初に取引をするための費用、つまりテレビ、新聞、
ラジオやチラシ、DM等の販促費に使い、
消費者が商品を購入したあとの顧客との接点を持つための
費用をあまりかけていません。

消費者が購買意思決定する時に最も影響を受けるものは、
マスメディアの広告よりも同じ立場の消費者の支持が
購入を促す強力なカンフル剤になっているということを
もっと認識すべきだと思います。

今週号の日経ビジネスに「企業に広がるSNS疲れ」という
記事が掲載されていましたが、
まだまだSNSの研究はこれからだと思います。

マーケティング担当者は実質的に支配できる
有料メディア以外に、自分たちではコントロールできない
メディアに対しても(ブランドの愛好者が集まるコミュニティなど
顧客が作りあげたチャネル)考慮にいれた管理を
しなくてはならなくなってきたと思います。

マーケティング費用配分の見直しと、
マーケティング組織の中に顧客接点をどのように増やし
ブランド価値を高めていくのかという、マーケティング全体の
見直しが必要となってきたのではないでしょうか!

昨日の日曜日は通販事業部の商材探しのために
房総半島をあちこちドライブしていたところ
偶然にも御宿で毎年開催されている
「伊勢海老まつり」に出くわしました。

海老や蟹に目のない私はこれは絶好のチャンスとばかり
早速イベント会場に向かったのですが、
車を停める駐車場を探すのにひと苦労をしてしまいました。

結局停めた駐車場は町営の駐車場だったのですが、
なんとこの駐車場が2時間1,000円もするのです。

私が東京湾アクアラインを利用する時に使う金田の駐車場は
1日500円です。(東京の人からみるとびっくりするほど安い)
木更津よりも田舎の御宿で(笑)こんな値段をとって
しかも伊勢海老2匹とサザエ2個で3000円という価格!
そのうちお客様は来なくなるのではないかと思いました。

この企画を立てた人たちは、何のために
このイベントを開いているのでしょうか?
伊勢海老を食べた観光客は、町に回遊するのでもなく
伊勢海老を食べただけで帰路についているのです。

コモディティ化からの脱却

昨日は東日本大震災から丁度半年の節目の日でした。
福島の原子力発電所の放射能汚染の問題で、
ここ房総半島も観光客の数が激減をしています。
そんな時の折角のイベントにも関わらず、
この内容ではお客様の足は遠のくのではないでしょうか!

本当はどうしたら顧客に喜んでもらえるか!
を考えなければならないのに、
ほとんどの人たちはどうしたら経費を下げられるか?
どうしたら売り上げを上げられるか?どうしたら生き残れるか?
ばかりを考えて顧客のことを考えていません。

まず先に自分の儲けを考えて価格設定をするので、
駐車場に高い値段を設定したりしてしまう。
もし駐車場が無料であるならば、
見込み客の数は倍増するでしょう。

例え買う気のなかった見込み客でも
会場に一度足を踏み入れたら
買う気が起きるかもしれません(企画しだいで!)

ビジネスの基本は、まず見込み客を増やすことです。
見込み客がいなければ売り上げには繋がりません。
優良顧客へ繋がる見込み客という分母を増やしてから
顧客へ繋がる導線を作ります。

経済的な危機においては、ポテンシャルを高めることよりも
障害を除去することのほうが重要なのです。

見込み客が来てくれない原因はなんなのか?
放射能の問題なのか?
それとも節約志向のせいなのか?
何が障害となっているのか?

また経済的な危機のなかでは、同じ事を続けるのではなく、
変えていくこと、つまりイノベーションを起こすことが重要です。

同じ伊勢海老祭りをやるのでも内容に変化を与えることです。

実は私は、この伊勢海老まつりは今回で2回目です。
前回も今回もたまたまその日に御宿に行っていただけで、
計画的に行ったわけではありません。

2?3年前に来た時の内容とほとんど同じでした。

同じことの繰り返しをやっていると
知らず知らずのうちにマンネリ化、コモディティ化していきます。

「疎外化」と「コモディティ化」は成長を妨げる双頭の悪魔だと
云われています。

恐らく伊勢海老まつりの主催者は、
顧客に対してこのイベントの時だけ
来てくれればよいと思っているわけではないと思います。

御宿の町に何度も来てもらいたいと願い
お祭りを催していると思います。
しかし、そのためには基本的な戦略は変えずとも
補完的な商品やサービスを追加するなど今までと違った
付加価値を付け加えることが必要なのです。

そしてまた、次の機会にも是非参加したいと
思わせる共感を抱かせることが重要です。

それがイベントやビジネスを長続きさせる秘訣です。

昨日の日曜日は地元の酒造メーカーの社長に誘われて、
東京国際フォーラムで開かれていた
「元気!つなごう結の力」というイベントの見学にいってきました。

このイベントの副題は「東日本大震災復興支援企画」
主に被災にあった地域の復興支援のために開かれたものでした。

東北から関東の中小企業164社の人達が自慢の品々を
持ち寄り販売しておりました。
どこでこのイベントを知ったのか結構な人達が集まり
会場は熱気に包まれていました。

しかし、残念ながら中々これと言った掘り出し物を
見つけることはできませんでした。
百貨店などが、各地の物産展などを定期的に
開催しているせいでしょうか!
見慣れてしまっているのかもしれませんが、
どこのブースにいってもあまり代わり映えのしないものばかりでした。

マネージメントの課題は問題提起

イベント会場はひとつのプレゼンテーションの場と同じです。

何か良い物がないかと探しにきている見込み客の心を
掴もうとするならば、その心を惹きつける
「サムシング、何かがなければなりません」
何かとは物語(ストーリー)です。

只漠然と商品を並べ、商品の良し悪しや
美味しいか不味いかの判断だけで商品を売ろうとしても、
今の消費者の心を動かすことはできません。

プレゼンテーションの天才と言われた
アップルの創業者「スティーブジョブス」は、
新商品の開発やプレゼンテーションをする時には
必ず適役を作るといっています。

適役それはつまり問題提起です。

新商品を作る発想やアイデアは問題提起から始まります。

その問題が誰の目から見ても問題だと思われるものならば、
その問題を解決してやることで、
多くの人の賛同をえることができるわけです。

もう随分前から日本酒離れが起きていると言われております。

何故、日本酒離れが起きているのか
日本酒を造っている人達の中には
分かっている人もいるかもしれませんが、
その問題はまだ解決されているようにはみえません。

日本酒を造られる人達も異業種の研究を
してみると面白いことがわかると思います。

サントリーが火をつけてブームになった。
ウイスキーの新しい飲み方ハイボール
(大昔、私が学生時代に流行っていた)や
ビール系飲料アルコール度数0%の
「フリー」サントリーの「ほろよい」など・・・
アルコール度数の少ないものが売れています。

元々「フリー」は自動車を運転する人の為に
アルコールの入っていないビール系飲料として
開発されたものだと思いますが、
今飲んでいる人達は車とは関係なく楽しんでいます。

問題は販売する側からの提案が
日本酒の場合あまりされていないことだと思います。

日本酒を何故ロックで飲んではいけないのでしょうか?

日本酒を何故炭酸で割って飲んではいけないのでしょうか?

日本酒とステーキは本当にあわないのでしょうか?

日本酒のグラスは何故ワインのような
お洒落なものがないのでしょうか?

このような問題提起をすることで
解決策となるアイデアが山のように出てくると思います。

お酒を只お酒としてだけ捕らえるのではなく
生活の中のシュチュエーションを考えて
トータルライフサポートすることで、本当の問題が見えて
くるのではないかと思います。

渡邉勝彦プロフィール

1975年 法政大学経済学部卒業後、東京の中堅印刷会社にて生産関連と営業関連を経験。その後日本経営合理化協会に入社、主に営業マン向けのセミナーを担当、企画立案、セミナーの集客から運営までを行う。

1990年、ワタナベ印刷㈱代表取締役就任。2008年8月、社名をワタナベメディアプロダクツ(株)に変更。印刷会社から販売促進支援業へと大きく進路を転換!現在、マーケティングアドバイザー兼代表取締役として活躍中

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